厳寒  ( LES GRANDS FROIDS )

皆様それぞれに新年をお迎えの事と存じ、遅まきながらご挨拶を申し上げます。今年もどうぞよろしくお願い致します。当地は寒波(la vague de froid)が押し寄せ、全国的に寒さの厳しい正月となりました。雪が降って景色はきれいですが、歩けば滑るし、車はスリップしてノロノロ運転。南仏も例外でなくTVニュースのトップ記事はマルセイユの大雪(Marseille sous la neige)で、マルセイユの旧港や地中海沿岸コートダジュールの雪景色を映しました。何しろ22年振りの大雪だそうで、20−40cmの積雪に高速道路や空港は閉鎖され、バス、市電やTGVを含む鉄道は運休、学校はお休み、地区によっては停電となって明かりも暖房も無く、寒さに震える日が2日間も続きました。パリではその後珍しく空は晴れましたが、日中でも零下の気温に大気が凍って、積った雪もなかなか解けない状態でしたが、斜めから強く射す眩しい日光に寒さが少し緩んだ気が致します。ニースの知人からはミモザの蕾が黄色く膨らんで、今にも咲きそうな気配との便り、春が近いと感じます。

冬のソルド  ( SOLDES D’ HIVER )

恒例のソルド(大棚ざらえ)が全国一斉に7日から始りました。寒さが影響してか今一賑わいに欠けるようですが、今回は経済危機(la crise economique)を反映して商品の現金化を計ろうとする店が多く、50%から70%もの値引きが見られ、特に衣類や、靴、バッグなどの皮革製品、アクセサリー類に人気があるようです。ソルドの期間は5週間続きます。商品の価値を確かめ、従来の価格をご存知なら、お買い得の品も多くあるのではないかと思います。今年はインターネットで目玉商品を提案してネット販売をする店も増え、わざわざ寒い中を出掛けなくとも地方や国外からも買い物が出来る便利さが話題です。又、今回からサントゥアンとクリニャンンクールの骨董屋街(les antiquaires de St-Ouen et de Clignancourt)も初めてソルドに参加しています。

“ピカソと巨匠達”展の利益 (LE BENEFICE DE « PICASSO ET LES MAITRES »)

昨年の弊信第9号にてもご案内しましたパリのグラン・パレにて開催中の“ピカソと巨匠達”展は、10月8日の初日以来3ケ月後の現在まで既に41万人の入場者を数え、100万ユーロの純益を計上したと発表されています。このまま2月2日迄予定通りの開催が続けば、その利益を以って今までに開催した他の美術館をも含む展覧会の赤字を補填するに足りるものと云われています。私も暮れに行きましたが、入口遥かに綱が張られ、まず係員から“現在300人待ちだが、待つだけの勇気があるか?”と尋ねられ、東京から来た友人も一緒だったので“ウイ”と返事しましたら行列に入れてくれました。凍るような寒さの中で足踏みしながら待つこと2時間余りで入場出来ましたが、蛇行する列の真ん中にカラオケ的アンプを置いてサキソフォンを演奏している人が居て、勇気付けに大いに役立った気がしましたので、いくつものコインを置いてきました。中に入れば、入場者の数を上手くコントロールしているのでしょう、混雑することもなく、比較対照(une confrontation unique)をテーマに展示されたピカソに影響を与えた巨匠達の作品とピカソ自身の作品、合わせて200点余りをゆっくり鑑賞することが出来、企画から60年後に開催が実現したというこのビッグ・イヴェントを堪能、寒さの中を2時間待ったことなどすっかり忘れていました。当展の開催は2月2日までとなっていますが、23時までのノクターンと1月30日午前9時から最終日2月2日の20時迄24時間体制で途切れなく開館する予定などを検討中という力の入れようです。
Galeries nationales du GRAND PALAIS メトロChamps-Elysees Clemenceau下車
火曜日休館 毎日10時00−22時00   入場料 12ユーロ

ハンディ・サーカス  ( HANDICIRQUE )

パリ12区ヴァンセンヌの森ルイィ原(la p[elouse de Reuilly]で開かれている恒例のピンダー・サーカス(Cirque Pinder)では、正月休みの期間に限って“ハンディシルク”と名付けた特別プログラムを公開して好評を博しました。それは“肉体的ハンディのある人と曲技”をテーマに、北京のパラリンピックに出場したフランス・ハンディスポーツ連盟(FFH =
Federation francaise handisports)所属の選手7名を参加させ、3週間の練習を経て、動物を使った曲芸、ピエロ、綱渡り、ピラミッド等の曲技を一般観衆に披露したもので、満場の拍手喝采を浴びました。ピンダー・サーカスでは、競技場を曲技場に変えただけ、何でもやれば出来ることを知らしめる為に企画したとのことで、選手達も“試合やタイトルマッチではなく、正にこれが挑戦 というもの。”との感想を述べ、これからも機会あれば参加したいと云っています。尚、入場券の売上げは、これからの若いハンディ・スポーツマンの育成の為にFFHに全額寄附されました。

最初の郵便切手 ( MISE EN SERVICE DU PREMIER TIMBRE-POSTE )

最初に郵便切手が使われたのは今から160年前、1849年1月1日の事。それまでは手紙を
受け取った人が代金を支払っていました。受取人は払いたくないものですから、差出人は記号をこしらえて、それを紙に大きく濃く書いて透けた封筒に入れ、受け取ると透かして中の記号を読み、代金を払わずにそのまま返したといいます。フランス政府は郵便局の前身を創り、送り主が送料を払うシステムを確立、フランス造幣局(la Monnaie)の彫版師ジャック・ジャン・バール(Jacques-Jean Barre)がローマ神話の豊かな実りの女神ケレス(Ceres)
の肖像を彫って7,50gまで20サンチームの切手を印刷、最初の切手となりました。