冬の到来  ( L’ HIVER EST VENU )

アパルトマンの窓から眺めますと、周囲の家の屋根は霜が降りて真っ白、それぞれの煙突から出る暖房の煙に、サンタクロース(le Pere Noel)はどうするだろうか、などと想像してしまいます。木々の葉はすっかり落ちて、今まで葉に隠れていた小鳥の巣やヤドリギ(le gui:ギと発音します)が現れました。ヤドリギの丸い房(la touffe de gui)はクリスマスから
お正月の飾りとして扉に下げる慣いです。田舎道を走りますと、防風林を兼ねたポプラ並木に沢山のヤドリギがついているのが見られます。今冬の寒さはなかなか厳しいものがあり、大気は凍るようで、雨はミゾレから雪に変り、積るほどではありませんが、顔に冷たく当ります。夏には真上にあった太陽が冬には地平線の近くを通りますので、陽光は斜めに黄色っぽく眩しく、部屋の奥まで射し込んできます。近くのサンタンヌ通りは、西から真っ直ぐに強く日が射しますので、反対側から来る人がよく見えず、ぶつかることすらあります。シャンゼリゼの並木の電飾も、エッフェル塔のライトアップも、今年はEUを象徴するブルーに彩られて冬を迎えました。

パリの動物園閉鎖  ( LE ZOO PARISIEN A FERME )

長らくパリっ子に親しまれてきた動物園が、本格的な改修工事の為に閉鎖されました。1931年に開かれた植民地博覧会(l’Exposition coloniale)の機会に、パリ12区ヴァンセンヌの森の一角に造られたもので、改修工事の計画は20年も前から検討されてきましたが、常に費用面で問題となり、実現しないまま今日に至ったものです。担当の高等教育・研究省(le Ministere de l’ Enseignement superieur et de la Recherche)の話によりますと、大きな猿山も一部が崩れ落ちるなど、安全面からも早急に見直す必要に迫られたので、財団や民間企業の協力を得て、1億3千万ユーロもの予定で工事に踏み切ったとの事ですが、経済危機に瀕する今日、果たして工事は予定通り4年間で終るかどうか大変疑問視されています。
それにしても、あれだけ沢山居た動物達は何処へ行ってしまったのでしょうか、何も報道されていないだけに気になります。

庭から小判がザークザク  ( LE TRESOR ETAIT DANS LE JARDIN )

パリ郊外エソンヌ県アルパジョン(Arpajon(Essonne))の民家で、改築工事の為に傾斜した庭の土を掘り返していたところ、地中40 cm の所から2個の大壷に入った約4万枚の銅貨が見つかりました。専門家の鑑定によりますと、これらの銅貨は3世紀末期頃ガリアの皇帝(les empereurs gaulois)ヴィクトリアン(Victorien(269-271))とテトリキュス1世(Tetricus 1er(271-274 apres J-C))の時代に流通していた非常に珍しい古銭で、破格な宝物との事。これを見つけた工事人と家主が半分ずつ分けることになりましたが、その価値は数万ユーロ以上との査定に、思わぬクリスマス・プレゼントと大喜びです。

貨物列車を中国まで (LES TRAINS DE FRET ROULERONT JUSQU’ EN CHINE )

フランス国鉄(SNCF)は、今から3年後に12000 kmまで貨物列車を走らせる計画を発表、ドイツ、ポーランド、ロシア、そしてモンゴルを経て中国各地への10日間の行程を予定しているとの事です。飛行機よりは遅いが運賃が安く、沢山運ぶことが出来、現在6週間かかっている船便よりもずっと早いことになります。これに先がけ、ドイツ国鉄(DB)では、北京・ハンブルグ間1往復のテスト走行を、この1月に実施する予定です。こうしてMade in China商品の運送ばかりでなく、ヨーロッパとアジアの通商が容易に、そして盛んになることが期待されています。

ラ・ユシェットのジャズ60年 ( 60 ANS DE JAZZ A LA HUCHETTE )

グラス一杯のワインやビールを片手に、穴倉ぎっしりの人達、或る者は踊り、足踏みをし、或る者は唄い、メロディーを口ずさみ、ジャズに恋する人達の神殿とも云えるパリの名所
カヴォ-・ド・ラ・ユシェット(Caveau de la Huchette)が創立60周年を迎えました。その昔は地下牢であった所を、戦後ジャズ・クラブに改装したもので、嘗てルイ・アームストロングが、ライオネル・ハンプトンが、シドニー・ベシェが、名演奏を聞かせた所として知られています。今までに閉店したのは1968年の5月騒動(les evenements de mai 1968)の時の数日間だけで、毎夜の生演奏に、時には夜が明けるまで、熱い雰囲気に満ちています。
5,Rue de la Huchette,75005 Paris  メトロSaint-Michel駅下車  毎夜21時30開場
入場料 11ユーロ、 学生 9ユーロ、 金、土、祭日前夜 13ユーロ

アルベール・マルケ“航跡”展(ALBERT MARQUET « ITINERAIRES MARITIMES »)

人間にとって海とはどんな存在なのでしょうか。ジュール・ヴェルヌのロマン“海底2万哩”(Jules Verne(1828-1905) « Vingt mille lieus sous les mers »(1870))、モネの画“印象・
日の出”(Claude Monet(1840-1926) « Impression・Soleil levant(1872))、ドビュッシィ作曲の“海”(Claude Debussy(1862-1918) »la Mer »(1905))そしてマルセル・カルネ監督の映画“霧の波止場”(Marcel Carne(1909-1996) « Quai des brumes »(1938))等々海を題材にしたものは数え切れません。海洋博物館ではフォービスム(Fauvisme)から印象主義(Impressionnisme)に転じたマルケが国内は勿論欧州各地の港を巡り、その活気に魅せられて描いた船、波止場、ドック、倉庫など港の風景画を特集して80点余り展示しています。2009年2月2日迄 Musee national de la Marine (Palais de Chaillot / Place du Trocadero,75116 Paris) メトロTrocadero 10時−18時(火曜日休館)入場料9ユーロ