ショパン2010 ( CHOPIN 2010 )

ショパンポーランド人を母親に、フランス人の父親との間に生まれて今年で200年。故郷ポーランドでは記念紙幣が発行されるなど、各地で沢山の記念行事が企画されています。特にフランスを愛し、フランスに住んで1849年の晩年まで作曲や演奏活動を続けた大作曲家を記念して”BON ANNIVERSAIRE MONSIEUR CHOPIN”(ショパン、お誕生日おめでとう)と題して彼が弾いたピアノのプレイエル(les pianos Pleyel)がパリを始め各地での演奏会を予定しています。10人の著名ピアニスト、既に才能を発揮している有能な30人のピアニスト、そして各地のコンクールで選ばれ、将来を期待されるジュニア20人の演奏によるショパン名曲集が2月28日にパリのプレイエル・ホール(Salle Pleyel, 252bis,rue du Faubourg Saint-Honore,75008 Paris)で開催されますが、その他の詳細は www.bonanniversairemonsieurchopin.fr をご覧下さい。

“イジス、夢のパリ”展 ( IZIS, PARIS DES REVES )

パリをこよなく愛し、街角を舞台に、そこに生きる人々が演じる様々な光景を詩的に捉えた“ヒューマニスト”と呼ばれる写真家(le photographe humaniste)にドワノー(Robert Doisneau(1912-1994))、ブラサイ(Brassai(1899-1984))、カルチエ・ブレッソン(Henri Cartier-Bresson(1908-?))、ウイリー・ロニス(Willy Ronis(1910−2009))が有名ですが、もう1人イジス(IZIS(1911-1980)本名Izrael Biderman)が掲げられます。リトアニアに生まれたユダヤ人の彼は、イジスと名乗ってドイツによる迫害から逃がれ、戦時中はレジスタンス運動員の写真屋として働き、戦後になって以前から魅かれていたパリで仕事に就き、パリマッチ誌のレポーターとして腕を磨き、“異邦人”(l’Etranger(1942 ))を著したカミュ(Albert Camus(1913-1960))など著名な作家や芸術家達のポートレートを撮り、シャガールがパリのオペラ座の天井を飾る画の制作中には、カメラマンとして唯1人撮影を許されたことでも知られています。しかし、一度は画家を志した彼が最も好んだのはパリの街の公園や遊園地、サーカスでした。今年はイジスが逝って30年、パリ市庁では、見知らぬパリっ子達の限りない魅力を捉えた作品270点を展示して、その偉業を讃えています。
2010年5月29日まで パリ市庁舎(Hotel de Ville)(5,rue Lobau,75004 Paris)メトロHotel de Ville、日曜・祭日を除く毎日10時00−19時00、 入場無料

朝市 ( LE MARCHE )

まだまだ寒い天気が続いていますが、凍るような朝でも早くから活気に満ちているのが朝市です。今はこれといった季節物が余り無く、南からモロッコ産のミカン(la clementine)、グアドループ産のバナナ(la banane)、マルチニック産のマンゴ(la mangue)、イスラエル産のグレープフルーツ(le pamplemousse)など、あとはリンゴ(la pomme)や胡桃(la noix)くらいのもの、野菜も冷害でやられて僅かなネギ(le poireau)やサラダ菜(la salade)、それに温室産のトマト、キュウリ(le concombre)、その他は数種のジャガイモ(les pommes de terre)や人参(la carotte)、カブ(le navet)、ビーツ(la betterave)などの根菜が並んでいます。今では家畜の飼料として食卓から遠くなった根菜も、最近では低カロリーだ、薬効がある、ヴィタミンも豊富だ、と有名シェフ達が“いにしえの味”(les saveurs d’antan)を率先して使い出したので見直され、例えば菊芋(le topinambour)は生でサラダにも良し、茹でてピューレにしても、油で揚げても良し、低カロリーで糖尿病に効く、人参の従兄弟のパナイス(le panais)はミネラルやカリウムが多く含まれ、付け合せやサラダでも美味しい、チョロギ(le crosne)はよく洗って皮をむかずそのまま、ルタバガ(le rutabaga)は辞書によれば‘スエーデン・カブ’で、消化に役立つ、云々、見慣れない形の野菜が並んでいるものですから質問も多く、八百屋のお兄さんも説明に忙しそうです。

トゥール・ダルジャンのワイン競売 ( LES VINS AUX ENCHERES )

ノートルダム大聖堂の美しい後姿を見下ろす“トゥール・ダルジャン”、創業が1582年という最も古いレストランの一つ”La Tour d’Argent”、昭和天皇も名物“鴨料理”を召し上がった所、戦時中ドイツ軍に飲まれまいと地下の酒倉をコンクリートで固めた、など数々のエピソードでも知られますが、45万本と云われる所蔵からこの度18000本がオークションに掛けられ、420ユーロと見込まれた1998オー・ブリオン(Chateau Haut-Brion)が1400ユーロで競り落とされ、最も高値で売られたのは1788年のコニャックで25000ユーロだったそうです。

偽札の激増 ( INFLATION GALOPANTE DE FAUX BILLETS )

パリの警視庁科学技術研究所(Laboratoire de la Police technique et scientifique de Paris)の発表によりますと、欧州中央銀行(Banque centrale europeenne)に回収された偽札だけでも、この2年間に53%増という急激なもので、偽造が正式な印刷を上回るのではないかとの恐ろしい現象です。最も多いのはフランスで偽造(les reseaux francais de faux-monnayage) の20ユーロと50ユーロ札で(Les faussaires francais preferent les petites coupures)3000枚に1枚の割合で流通しているのだそうです。昨年国内での記録はパリ郊外アンギャン(Enghien)で摘発された1万枚の20ユーロ札でフランスではコンピューターを使って手作りの小額紙幣が特徴、パン屋、タバコ屋、新聞雑誌のキオスクなど忙しい場所で疑われる事も無く、早く使って釣銭を稼ぐのを目的としています。オフセットなど本格的に機械を使っての偽造はイタリー、スペイン、イギリスで500ユーロ札、ブルガリアギリシャオーストリーは200ユーロ札や100ユーロ札とのことですが、最近では南米コロンビアなどもUSドル札の偽造を止めてユーロ札に乗り換えたと云われています。高額な500ユーロ札など見たことも無いので気になりませんが、お店でも受け取らないと聞いたことがあります。この頃そう云えば現金で支払うと喜ばれるどころかお札を光にかざして疑わしそうにこちらの顔を覗うので「失礼な」と思う事がよくありますが、納得です。でもどの様に注意すればよろしいのでしょうか。

“ドラクロアへの情熱”展 ( UNE PASSION POUR DELACROIX )

1863年8月13日に結核(la tuberculose)で亡くなる迄ドラクロア(Eugene Delacroix(1798 –1963)が制作に励んでいたパリの住居は現在ドラクロア美術館として知られていますが、この度ドラクロアの作品を主に集めて所有するアメリカの富豪カレンBコーヘン(Karen B.Cohen)のコレクションからデッサンや素描、下絵を含む90点を展示、作品を通じてドラクロワの知られざる面や制作の手法、経緯などを公開しています。インク、アカレル、グワッシュなどで仕上げた1828年制作の“虎に引き倒された野馬”(Cheval sauvage terrasse par un tigre)は激しく、また寅年に相応しい作品と感じました。パリでの展示後は全てニューヨークのメトロポリタン美術館に寄贈される事になっているそうです。Musee national Eugene Delacroix (6,rue de Furstenberg,Paris 6e)にて4月5日迄開催中、火曜日を除く毎日09時30−17時00 入場料5ユーロ、 メトロSaint-Germain-des-Pres下車