桐 ( PAULOWNIA )

並木道や広場は薄紫色の花が満開、まるで電飾が点いた様です。日本がゴールデン・ウイークで賑わっている頃、大気が香る当地の春、晴天に浮かれて市バスに乗って市内観光と洒落ました。ピガールから来る67番のバスに乗り、ルーヴル宮からセーヌ河岸を走っていますと、左に市庁舎(Hotel de Ville),対岸にオテル・ディユ病院(Hotel Dieu)の建物、その脇の花市を囲む並木に満開の桐の花を見付けました。サン・ルイ島を横断してトゥルネル橋(Pont de la Tournelle)からバックシャンのノートルダム大聖堂を一望に、ジャン・ヌーヴェル設計のアラブ世界研究所(Institut du Monde Arabe)前を右折、未だにアスベスト(l’amiante)除去作業が続くパリ大学ジュシユ校に差しかかりますと前の広場(Place Jussieu)一杯に桐の花、植物園(Jardin des Plantes)とイスラム寺院(la mosquee)の間を抜けた小さな広場には紅いマロニエの花と紫の桐の花、大きなイタリア広場(Place d’Italie)に着きましたら広場の中央も周囲も何本あるのでしょうか、それは沢山の桐の木に花が満開、景色が紫色に霞んで見えました。16区に用事があり、その帰りにヌイイ(Neuilly)から来る82番のバスに乗りました。シャイヨ宮(Palais de Chaillot)前、噴水のあるトロカデロ公園を通りエッフェル塔を真正面に見てイエナ橋を渡ると、エッフェル塔の丁度足元の道路際左右にこれまた見事な桐の花が景色を盛り上げていました。エッフェル塔を左手に暫く走ると軍の学校(Ecole Militaire)があり、それからナポレオン廟のある廃兵院(Hotel des Invalides)の前を抜けてメトロの聖フランシスコ・ザビエル駅に達しますと、駅の広場とその前にある大きな教会堂両脇の並木も桐の花が満開でした。嘗て春にはマロニエやリラの花が街を飾っていましたが、こうして桐の花が多い事に気が付いたのは、ここ2−3年のことです。花が咲いて初めて判ったのです。その後も気を付けてみますと、凱旋門のエトワール広場からカルノ通り(Avenue Carnot)の並木も薄紫色の桐の花が春いっぱいに咲いていましたし、ガンベッタ広場(Place Gambettaの桐も見事でした。きっと公害対策の一環として、市の樹木担当課がいつの間にか植え替えたに違いありません。