“マチスとロダン”展  ( MATISSE & RODIN )

アカデミスムから芸術を解放しようと二人が初めて会ったのは1900年の事、ロダン60才、マチス31才の時でした。片や既に誰もが認める彫刻の第一人者、片やフォービスムを絵画に採り入れ、彫刻を始めたばかりの画家で、大きな年齢差はありましたが、お互いに解り合える何かがありました。そこでマチスが幾つかのデッサンをロダンに見せましたら、ロダンはそれらを褒めながらも、熱が入り過ぎて線が生きていない、ボリュームが無い、などと批評したのです。それはマチスがあくまでも画家であったからなのです。それ以来二人は2度と会うことはなかったようです。しかし彫刻と絵画と種類は異なるものの、例えば裸婦を彫る、或いは描くうちに、腕や足をどうするか、全く無くしてしまうか、どんな角度にもっていくか、など、その動き、処理の仕方の考え方には非常に共通するものが見られたのです。ロダンの“坐った女性のトルソ”(Torse feminine assis又はTorse assis B)と題したブロンズ像とマチスの“ブルーの裸婦”(Nu bleu IV), ロダンの“ロシュフォールの胸像”(Buste de Rochefort(1884))とマチスの“アンリ・ロシュフォール肖像画”(Portrait d’Henri Rochefort(1899 ))等々、特に身体の動きを表現するものに類似点が見られて興味を惹かれます。マチスが最後まで抽象絵画に向かわず形象を残していたのは、ロダンの彫刻が常に意識の底に存在していたからだと云われます。このような二人の作品183点をニースのマチス美術館とパリのロダン美術館の協力で展示しています。ロダン美術館はかつてロダンが間借りしていたビロン邸(l’Hotel Biron)を美術館として整備したもので、その庭園の美しさにも定評があります。2010年2月28日迄、ロダン美術館(Musee Rodin(79,rue de Varenne,75007 Paris))メトロInvalides下車 (月曜休館: 毎日10時−17時45)入場料7ユーロ