夏休み  ( LES VACANCES D’ ETE )

むせるような緑、今夏は何時にも無くどの木もこんもりと葉が繁っているように思えます。日本でしたら夏の暑さを唄うかのように蝉(la cigale)が賑やかに鳴くところですが、当地は南仏に行って初めて松の木に蝉の声を聞きます。でも耳慣れない調子の声に、蝉と気が付かないこともありますが、珍しい存在なのでしょう、土地の名物としてお土産屋さんはどこも蝉の鳴き声をテープで流し、店先には蝉をかたどったブローチやバッジ、壁掛け用の花瓶などを売っています。パリはそれだけ北に位置しているからでしょうか、白や黄色の蝶(le papillon)は居ても蝉やトンボ(la libellule)は見かけません。
7月14日パリ祭(le quatorze Juillet)が賑やかに無事終了、エッフェル塔に色とりどりの花火が上がって、サルコ大統領もカルラ夫人も大満足、フランスは夏休みに入りました。パリの街の様子は少し変って、何処の界隈でも1ヶ月程の年次休業(la fermeture annuelle)で閉まっている店もあり、ルーヴル宮脇のチュイルリー公園には(le jardin des Tuileries)大きな観覧車が回り、大人も子供も楽しめる乗り物やゲームが設置されて遊園地となり、セーヌの河岸は“パリ・プラージュ”(Paris Plage)と名付け、車をシャットアウトして砂を敷きつめ、椰子の木を置き、デッキチェアーを並べ、水に入って泳げないだけで正に海岸のようになってしまいます。こうした企画はヴァカンスに行かれない人達ばかりでなく、夏休みを共に楽しく過ごしましょう、との市の配慮によるものなのです。確かに夏のパリからはフランス人の姿が減って、通勤・通学時の電車やバスが空き、行き交う人の殆どが“外人”と判るので、あァ夏休みなのだと感じます。私が利用している郊外電車RERのB線ではロバンソン駅(Robinson)発は1時間に3本、20分置きの夏休みダイヤになりました。