春の花三色 ( LES FLEURS DU PRINTEMPS BLEU,BLANC,ROUGE )

若葉が繁り、木々の花も惜しげなく咲いて、大気が薫っています。この時期の花の色はフランスの国旗のようにブルー、ブラン、ルージュ、つまり青、白、赤の三色(トリコロール le tricolore)に分けられます。マロニエ(le marronnier西洋トチ)は木によって白い花が咲くものと、紅い花が咲くもの、藤の花(la glycine)は青紫と白、リラ(le lilasライラック)も青紫か白い花、西洋さんざし(l’aubepine)は赤と白、桐(le paulownia)の花は青か白、といった具合で他の色は極めて稀れです。春の到来を告げた花々、ミモザ、クロッカス、レンギョウ、山吹、たんぽぽ、菜の花などは黄色でした。その後には梅や杏、りんごや梨、桜の白、更には八重桜、桃、花桃など強いピンク色と続きました。そして今の三色に重なるように高速道路や電車道の土手に土砂崩れを防ぐ為に植えられている根の強いニセ・アカシア(le robinier)が、髪飾りのようなクリーム色の花を沢山に咲かせて、若葉に爽やかに映えています。5月も末になればこれら花の姿は全て消え、プロペラ-のような、小舟のようなガクに薄黄色の小さな花を付けた菩提樹(le tilleul)が、そこはかとない香りを漂わせて夏を知らせます。あとはモネの絵にあるような野原の紅い雛ゲシ(コクリコ le coquelicot)そしてバラ(la rose)の季節でしょうか。