ジャガイモの話 ( LA POMME DE TERRE )

パリのメトロの駅で“ジャガイモ展”が開催されていることを当通信の第16号でお知らせしましたが、愛すべきジャガイモについてもう少し話を続けたいと思います。フランス語でジャガイモのことを16世紀頃まで « cartoufle »と呼んでいましたが、今では « Pomme de terre »(ポム・ドゥ・テール:(木に対して“地のリンゴ”の意。中国では“土豆”と云うのだそうです。))又は普及させた園芸家の名前を取って « Parmentier »(パルマンティエ)と云います。南米ペルーの原産、その昔、航海術の優れていたスペイン人が金を探しに行ってジャガイモを知り、ヨーロッパへ持ち帰って広まったそうですが、フランスでは当時ライ病が流行っていて、病原が地面から湧くと信じられていた為に地中に育つジャガイモは好まれず、18世紀にパルマンティエが軍隊を中心に栄養価の高い食材として栽培を広げるまでは普及が遅れましたが、時の王様ルイ16世はジャガイモ料理で客をもてなし、お妃のマリー・アントワネットはジャガイモの花を胸に飾った程にまでなったと語り継がれています。そこで、つれずれに、当地のカフェ、ブラッスリ—やレストランで出てくる一般的なジャガイモ料理を挙げてみましょう。まず前菜や料理の付け合せとして出てくるものとして、大人も子供も誰でもが好きなPommes fritesフレンチ・フライとも云われるフリットで、ステーキやソーセージの付け合せに欠かせず遊園地でも売っています。Pommes allumettes(ポム・アリュメット)といってマッチ棒のように細いものもあります。Pommes vapeir(ポム・ヴァプール)魚の付け合せにする茹でじゃがでPommes a l’anglaise(ポム・ア・ラングレーズ=英国風ポテト)とも云います。Pommes rissoleesサイコロに切って揚げたもの、Pommes Dauphineマッシュポテトを小さな団子にして揚げたもの、Gratin dauphinois又はPommes gratinees薄切りの芋とチーズを交互に重ねてグラタンにしたもの、Puree de pomme又はPommes puree)ピュレの事、Pommes mousseline生クリーム入りピュレ、Pommes Boulanger薄切り芋と玉葱のソテー、Pommes chipsポテトチップス、Pommes soufflees風船のように中を空洞に揚げたもの、Pommes de terre robe des champs皮ごと茹でたもの、Pommes au four(sous le cendre)皮ごとホイルに包んで焼いたもの、Pommes a l’huileオイルで和えた芋サラ、Pommes en saladeヴィネグレットで和えた芋サラ、Salade Piemontaiseソーセージとポテトのマヨネーズ和え、Pomme de terre sarladaise鵞鳥の脂で炒めたポテト、Galette de pommes de terreマッシュ・ポテトをパイ皮に包んで焼いたもの、Pommes de terre farcies芋をくり抜いて肉詰めしたもの、Aligot熱々のマッシュ・ポテトにトーム・チーズを加えてよく練り上げたもの、Rusti千切りにした芋をフライパンで焼いたもの、等があります。そして主菜ともなるものにOmelette parmentier(オムレット・パルマンティエ)ポテト入りオムレツ、Veloute de pommes de terreポテトのポタージュ、Hachis parmentierピュレの間に挽肉を重ねてオーヴンで焼いたもの、これは丁度コロッケの味です。Brandade de morue塩鱈を細かく裂いてマッシュポテトと合わせたもの、Baeckehoffe(ベッコフと発音?)ポテトと肉の煮込みでアルザス地方の名物、肉じゃがに近い味です。まだまだあるのでしょうが、キリがありません。日本から来られた方々は皆さん異口同音にジャガイモが美味しいとおっしゃいます。市場へ行きますと、芋の専門店もあり、八百屋でも幾つもの種類を揃えていて、必ずと云ってよい程“何にするのか、茹でるのか揚げるのか”を聞いてから選んでくれます。スーパーでも網袋に何に向いているかとラベル表示が付けられていますが、大きい、小さい、丸い、長い、皮の色も薄い、濃い、赤い等々、種類も豊富です。家庭では1家族平均で年間35キロは消費、麦、米、トウモロコシに次ぐ生産量だそうです。